外国人留学生のキャリアモデル

日本に留学して専門的かつ先進的な内容を学んだ後、皆さんは様々なキャリアを築いてゆくことになります。
そこで、専門学校卒業後の典型的なキャリアモデルを以下に紹介します。

専門学校卒業後の在留資格

日本の専門学校を卒業した後、留学生には次の4つのルートが想定されます。

① 日本で就職する

② 日本で進学する

③ 日本で起業する

④ 帰国する(または別の国に行く)

このうち、①日本で就職する場合、入国管理局で「留学」の在留資格から「就労」可能な在留資格への変更手続きを行わねばなりません。
その際、「就労」とは、日本での「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」を言います。具体的に言えば、会社員としての業務や、会社経営者としての事業です。
そして、就労可能な在留資格の主な条件は、勤務先や経営する会社が決まっていることと、その勤務先や会社の経営の安定性・継続性が認められることです。したがって、就労ビザ申請の際、勤務先の業務内容や経営する会社の事業内容が審査されます。
ただし、専門学校を卒業しても就職先が決まっていない場合、「特定活動」の在留資格を得て就職活動を続けることが可能です。

専門学校卒業後の典型的なキャリアモデル

以下に示すA~Gのキャリアモデルは、前項で見た「専門学校卒業後の4つのルート①~④」を組み合せた実例です。その7モデルは次の通りです。

A 専門学校卒業 → ①日本で就職

日本のアニメーションに憧れて日本に留学したAさんは、アニメクリエイターを目指して専門学校に入学しました。教員にはプロとして第一線で活躍するクリエイターも多く、専門の知識・技術だけでなく、関係者を紹介してもらったり現場を見学したりする等、日本で働く際に役に立つ知識も身につけました。

就職活動では、専門学校職員の支援を受け、希望するアニメ制作会社に合格しました。

Aさんは現在、アニメーション制作助手として働きながら、いつか自分の作品を創ることを目指して頑張っています。母国で自分の制作したアニメが放映されることが夢です。

B 専門学校卒業 → ①日本で就職 → 日本永住権取得

日本の先進的な自動車技術を学びたくて自動車整備の専門学校に入学したBさんは、整備技術を学ぶうちに更に勉強したいと思うようになり、上級課程の研究科に進みました。専門学校にはその関連業界との太いパイプがあることから、大手自動車部品メーカーに就職できました。

入社後は工場の技術者として働きましたが、その実力が認められてリーダー、そして工場長に昇格しました。会社が母国に工場を新設した際、オープニングスタッフとして母国に凱旋し、工場が無事に立ち上がるべく活躍しました。やがて在留資格の変更時期を迎えると、管理職として「経営・管理」ビザに資格変更を申請して認められました。

日本語もすっかりと上達し、年収も社内ポジションも上がったBさんは、在留資格「高度専門職」ポイントを満したため、「高度専門職」ビザに変更しました。結婚して生れた子供の面倒を見てもらうため、共働きの妻の母(義母)を日本に喚び寄せる等、様々な優遇を受けられました。

その3年後、利点が更に多い高度専門職ビザに変更し、日本の永住権を取得しました。

C 専門学校卒業 → ①日本で就職 → ②日本で進学(大学 → 大学院)→ 日本永住権取得

科学技術が進んだ日本で学びたくて日本に留学したCさんは、2年間という程よい就学期間であることから専門学校を選び、予て関心のあったバイオテクノロジーを専攻しました。

勉強するうちに更に化学を学びたいと思うようになり、専門学校から大学の理学部に進学しました。そこでやり甲斐のある研究テーマを見つけたCさんは、大学院にも進みました。修士課程を終えた後、日本の大手化学メーカーに就職しました。

化学メーカーで研究職に就いたCさんは、特許を幾つも取得する等、目覚ましく活躍しました。気づけば日本で働いて10年以上が過ぎ、会社になくてはならない存在になったCさんは、この先も日本で暮したいと考えるにようになり、永住権を申請しました。審査の結果、日本の永住権を取得できました。

D 専門学校卒業 → ①日本で就職 → ④帰国

高齢社会を迎えつつある中国のDさんは、高齢化対応の進んだ日本の介護を学びたい考え、日本に留学しました。入学した専門学校の福祉学科は、実習授業がかなり多く、実際の介護現場を体験できました。

専門学校卒業後、介護福祉士として日本の老人ホームに就職しました。介護ロボットを利用した最新の介護方法や、高齢者に優しい日本の介護を実務現場で改めて学びました。

日本で5年間勤務した後、帰国しました。日本式介護を習得したDさんには各所から声が掛りましたが、Dさんは現在、介護施設の経営に携わり、日本の介護を普及したいと張り切っています。

E 専門学校卒業 → ②日本で進学(大学)→ ①日本で就職 → ④帰国

語学力を活かせば日本で就職し易いと考えて日本の専門学校の通訳・翻訳学科に入学したEさんは、通訳・翻訳技術だけでなく、日本の文化や思考様式も学びました。京都・奈良等の観光地に行く研修がきっかけで日本の伝統文化にすっかりと魅せられたEさんは、日本の歴史を学ぶために大学の日本文化学科に進学しました。

大学卒業後、日本の旅行会社に就職しました。そこでは、日本を訪れる外国人観光客に向け、魅力的なツアープランを次々に企画しました。

日本で就職して3年が経ち、一人っ子のEさんは、両親の願いもあって帰国しました。母国は日本との交流が盛んで、日本語が堪能なEさんは引く手数多でした。現地の旅行会社からも誘いがあったことは言うまでもありません。Eさんは現在、日本旅行の魅力を伝えることで、日本と母国の架け橋になりたいと考えています。

F 専門学校卒業 → ③日本で起業

日本に留学して専門学校の情報処理学科で学び、ITに詳しいFさんは、母国の名産品を広めたいという思いから、卒業後は日本でインターネットの通信販売事業を設立・経営したいと考えていました。

専門学校で築いた人脈を通し、協力してくれる日本人従業員を3人確保しました。資本金は両親に援助してもらいました。事業計画書や収益性を説明する文書の作成は大変でしたが、専門学校教員の助言もあり、「経営・管理」ビザを取得してFさんは会社経営者として認められました。

ネットショップ事業は好調で、スタッフ現在30人、M&Aも考えるようになり、Fさんは会社を更に大きくするために頑張っています。

G 専門学校卒業 → ④帰国

日本のヘアメイクに憧れて日本の美容技術を学びたいと思い、Gさんは日本の美容専門学校に入学しました。実習授業が多い専門学校では、実践的な技術を習得しました。また、インターンとして、有名な美容サロンで働くこともできました。同じ夢を持つ仲間と励し合い、カットコンテスト等にも出場しました。

専門学校卒業後は帰国し、日本で学んだ美容技術や美容サロン経営ノウハウを活かし、Gさんは現在、ビューティースクールの講師として活躍しています。資金を貯めて日本スタイルの美容サロンを開業することが今の夢です。

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